「一発触発の世界」(佐藤優)

 地政学リスク。隣国の北朝鮮が怪しい動きをしている状況ではしっかりと見極めないといけないリスク。そんな地政学リスクを知るのにいつも大いに役立つ佐藤優氏の著書。今回はそんな彼の著書「一触即発の世界」を読んだ。
 目次を眺めても、米朝開戦の可能性や北朝鮮金正恩のしたたかな戦略、どこまで進む「爆風トランプ」、誰も知らない北方領土交渉前史、北方領土問題解決の道筋など今の日本と取り巻く重要な問題が記されている。北方領土の問題は鈴木宗男氏とともに著者の話によく出てくるので今回は詳しくは触れないが、中でも北朝鮮の話には興味を引き寄せられる。金正男殺害事件の目的をはじめとして様々な問題を取り上げているが、心配なのは独裁者の「痛風」 と「痔ろう」というから面白い。痛風や痔ろうを持っていると会議の報告を最後まできちんと聞かない、それで判断を間違えることがある。確かに先日の南北首脳会談で映し出された独裁者の体型は勝手ながら心配になってしまう。西郷隆盛もフェラリアで判断ミスを犯して政府軍に敗れ去ったという。
 最後に著者が訴える不透明な時代を読む技法。若い世代には教養の幅を広げてほしいということ。身につけてほしいのは観察や論理的な能力、外国語の力。日本はもともと基礎体力がある国だから、その基礎体力に対して応用能力を少しつけるような形にして幅を広げると裨益する。自分も教養の幅を広げなくてはいけないと痛感させられた。