「日本史のツボ」(本郷和人)

 年齢を重ねたせいか、最近は歴史に興味を持つようになった。そんな日本史をコンパクトにまとめたのが「日本史のツボ」。7つのツボをおさえれば、歴史の流れがつかめるという一冊。7つのツボとは、天皇、宗教、土地、軍事、地域、女性、経済のことである。
 このような様々な切り口で展開されて勉強になることが多かったが、一番興味深かったのが「関東」の定義。関東といえば東京を中心とした関東平野に広がる地域を普通に連想してしまうが、そもそも関東とは、越前にあった愛発(あらち)、鈴鹿、不破の三つの関の東側を指す地域だというから、広範囲に及ぶから驚きである。
 それに対して、京都、大阪は「関西」とは呼んでおらず、「上方」と呼ばれていたのは周知の事実である。京都、大阪が上で、それ以外の地域は下ということになり、「くだらない」という言葉もこのような背景があるようだ。お酒にしても何にしても、江戸の人間にとって上方から下ってくるものが高級品、それ以外は上方から下って来ないもの、すなわち品質の落ちるもので、「くだらない」という表現が生まれたとのことである。まさに東西格差の言葉になっており、残念な語源である。
 本の中に登場した白村江の戦い六波羅探題御成敗式目などの出来事や役割など、以前学校で習った記憶はあったが、久々に目にして懐かしさとともに自分の不勉強さが露呈された。まだまだ改めて学ぶことは多いことを痛感させられた一冊であった。